日本口腔インプラント学会 専門医 日本顎咬合学会 認定医 歯科医師 尾崎 和郎
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大人と違い、お子様は自分で自分のお口の健康を守ることは難しいので、側にいる親御さんがしっかりと管理をし、歯科スタッフと二人三脚でお子様のお口の健康を守っていく必要があります。
乳歯だから生え変わるまでそのままで大丈夫だろう…と思ってらっしゃる方も多いかと思いますが、お子様の乳歯が生えた時期から定期的に歯科医院に通い、むし歯や歯周病になりにくいお口の状態を保つことが大切です。
むし歯とはむし歯菌による感染症です。
乳歯のむし歯をそのまま放っておくと、むし歯が進行して、歯の根の先端にむし歯菌が感染してしまいます。乳歯には、永久歯が生えてくるスペースを確保したり、永久歯を誘導するという役割があるため、むし歯を放っておくと乳歯の下にある永久歯が発育不全を起こしてしまう可能性につながります。乳歯だから生え変わるまで放っておくのではなく、乳歯がむし歯にならないようにきちんと予防することをこころがけましょう。
むし歯は宿主(唾液や歯の質、形態など)細菌(プラーク・ミュータンス・レンサ球菌群)基質(砂糖など)の3つの要因が絡み合って起こる多因子性疾患であると考えられております。最近ではこれに時間という要因を加えた考え方もあるようです。
歯の萌出と共に、どこからか感染して細菌叢ができると考えたほうがよさそうです。1歳前後のこの時期に砂糖の摂取を管理しないと「むし歯菌」が大きな顔をしてのさばった型の固有細菌叢が出来てしまい、むし歯の出来やすいお子様に育ってしまいます。反面この時期に「むし歯菌」から感染を免れると20歳位まではむし歯の出来にくいお子様になるという報告もあります。
乳歯の芽は妊娠7週目頃から、永久歯の芽は妊娠4カ月頃から出来始めます。赤ちゃんはお腹の中でお母さんとつながっているため、この時期から子供の健康を考えても早すぎるなんてことはありません。
日本の早産原因の約10%がお母さんの口の中の細菌が関係していると言われています。お母さんにむし歯や歯周病があるとそこにいる細菌は内毒素を持っています。その内毒素が血液に乗って胎盤に運ばれ、早産や低体重児出産の引き金ととなります。
子供は3歳位までは親が与えなければ、自分から砂糖入りのお菓子、ジュースなどを欲しがったり、自分で摂取するようなことはございません。「3歳位までのむし歯は親の責任」少なくとも幼稚園に上がるまでは容易に砂糖の管理は出来るはずです。